できる男の朝は早い。
私はインターネット上でクロキと名乗り活動するものである。
私はいつでも何処でも有益なことばかり考えている。何故なら、私は情報をこのように文章にまとめ皆に発信している者であるからだ。
人には有益な物を伝えたい。
だから、私はできる男である自分自身のモーニングルーティンを紹介していく。何度も言うが自分はできる男である。
朝の美意識は高く持つ
できる男の朝は早い。まだ、外が明るくなる前にブンブンと暴走族が鳴くさえずりにて起床する。
起きたらまずはお手洗いに行きたくなる。それが常だ。太陽は西から登らない。それと同値だ。
しかし、できる男の朝は時間がない。そして何より、容姿端麗なアイドルは大便をしないのだ。
だから私はお手洗いにはいかない。たとえ小便であっても。
こうすることで、大便に行かないと言うアイドルを超越することができ、アイドルより上のルックスを手に入れることができる。
これすなわち有益情報なり。
自己肯定を行う
起床後常にお手洗いに行くと言う衝動的欲望を抑え、理性を整えた私が向かうのは洗面所である。
まずは一般的な人々と同様に、口をゆすぎ顔を洗う。
お手洗いに行けない、否、意識的に行かない私には唯一の朝にリフレッシュできる至極幸せな時間である。
ここまでは一般的かもしれないが、できる男である私はここからが一味違う。
この時ばかりは出来過ぎすぎる自分を恨むことさえある。何故なら気が狂いそうになるからである。
それが、自己肯定の儀である。

毎日鏡に映る自分に向かって「我顔端正なり。我常時有益なれ。さすれば我完璧に達する。ピロロローン」と大きな声で繰り返し叫ぶ。
そしてこれを2時間繰り返す。外から見ればピロロローンは無益に見えるかもしれない。
しかし私は常に有益である。無益なはずがない。
このピロロローンには2時間にもわたる儀の中で唯一の休息地である。何事も活動し続ければいつか止まってしまう。ここは宇宙では無いのだ。摩擦が常に存在する。
有益の中で放つ少量の無益こそがこれまた有益なのだ。
私は容姿端麗である。これが先ほども述べたとおりお手洗いを我慢していることに由来しているのは明白だ。
この自己肯定の儀の中で、自身の中は有益情報が常であることに暗示をかける。この暗示により自身の考えていることは全て有益に変わるのだ。そう私が発信することは全て有益だ。
精神との対話を行う
儀を終えた私は、服を着替える。
服は思考時間や思考するためのパワーを省略するために同一のものを揃えることが有益だとする者もいる。
しかし、服も自身の1日の気分を左右する一つの大きな要素であることに皆気が付いていない。
服の選択は自己のパフォーマンスを左右する有益な物である。

私は常に用意している40枚以上のTシャツから自身の気分に合った物を選択する。これができる男である。
ここで自身の精神との対話を行うのだ。今日はどんな調子なのか?服を選定すると言うことを通じて自己の体調をマネジメントする。
大抵は自身の体の回答は「お手洗いに行きたい」だが、それを無視して対話する。1時間の対話の結果、今日は上裸で過ごすことにした。
エネルギーを補給する
そして朝のパワーを担うのは朝食であるが、自身は食事はしない。
私は有益なインフルエンサーである。新しいことには目がない。
最近巷ではなんでも呼吸することで解決する本が書店にて一番売れている。「鬼滅の刃」である。

だから私は呼吸する。そして空気からエネルギーを得る。深く吸い、浅く吐く。どんどん私の中にはエネルギーが充填される。
一番売れている本の情報である。一番売れているから間違っているはずがない。正しくて有益なのだ。
自分は一心不乱に呼吸をする。何故なら呼吸にてエネルギーを得るのは正しいから。
有益な私の食事は2分で終わる。
限界の時
そして遂に時は来る。
体の限界でお手洗いに駆け込む時間である。この時ばかりは肉体をもって産まれてきたことを憎む。
有益情報に産まれればお手洗いをすることは私はなかったのだ。
泣きながら排出する。昨日よりも長く耐えれたかを考えながら泣く。もちろん自分の容姿端麗も一緒にトイレの奥へと吸い込まれる。
肉体を持つ不便さ。こればかりは有益情報ではなんともならない。
そして気がつく。有益とは何か?
気づき
有益情報をいくら得て実践しても、人間である私に肉体を精神と解離することが出来ない。
そう考えると悲しくなる。私たちの有益は限界がある。肉体と精神を解離したい現在の私にとってはそれ以外の情報は全て無益だ。
本当に有益なことはなんなのだろうか。
私は常に「有益である」ことを発信することを考えてモーニングルーティンをこなして来た。
しかし、今の私には肉体との解離出来る情報が知りたい。これが現在の私にとって「有益」なのである。
そう。「情報」とは求めている人によって有益無益が異なるのだ。
何かがプツッと言う音がした気がした。
分からないが涙が止まらない。
そして、プリッと屁をこいた。
こんな時に屁をこくか!
思わず笑ってしまった。
思うままにゲラゲラ笑った。
そう、これが精神と肉体の一致であることに気がついた瞬間でもあった。
無益だと思っていた肉体に私は精神を救われた。
精神、すなわち感情を動かす何かもまた有益なり。
今日の朝の空はいつものよりもどこか暗い気がした気がした。そう思う午後8時。

終
注 この物語は全てフィクションです
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