こんにちは。クロキです。
今回はお題募集企画第二弾。
てっちさんの「新・桃太郎」について書くというお題について書いていきたいと思います。
桃太郎とは

桃から生まれた桃太郎が、キビ団子を餌にキジ、サル、犬を引き連れて鬼ヶ島に鬼退治に行くお話です。
まず、鬼と対峙する代償として、キビ団子一つだったり、桃から人が生まれるなどかなり矛盾点が見えると言われてしまうこの作品。
かなり昔に作られたお話なので、しょうがないですよね。
しかし、桃太郎は今のように一行で語れるという部分も魅力のように思えます。
この物語を現代風に変えてくれと言うこのお題。
まずは自分の中で現代に支持されている漫画を分析してみようと思いました。
現代に受けるポイント

さて、自分は今回の新桃太郎を執筆するにあたっていくつかの漫画を読み漁りました。
自分の好きな金色のガッシュ、進撃の巨人、東京グール、鬼滅の刃、などなど。
現代日本における流行っている漫画を読んでみたところいくつかの共通点が見つかりました。
まず第一に伏線回収があること。
物語の序盤に出てきた人物や事実が後々の物語の重要部分に関わってくるというのがお決まりですね。
次に序盤に出てきた謎が後に判明すること。
1の伏線回収に近いにですが、謎があることでそれを探求する物語に深みが出ますし、読者もそれを知りたいと思って、最後まで読みますよね。しかし、謎の大きさと判明した事実のパワーバランスが非常に重要で、最後まで引っ張たのに判明した事実がしょうもなかったなんてことになると、名作ではなくなってしまいます。
3つ目に、主人公に特殊能力が備わっていることですね。
読者は物語を読むにあたって、キャラクターに自分を投影する場合が多いです。なので主人公は日常では読者が味わえないような優秀な能力を持っていることが好まれる傾向にあると思いました。
また、物語の主人公であるということは、その主人公の周りで色々な出来事が起こるわけです。ならば主人公が非日常的な物でないと自身で解決したりできなくなってしまいます。
そして、身内に危害が及ぶこと。
これは主人公にその物語で動く動機を強く植え付けることが可能になります。また、読者の共感にも分かりやすい悲しみ・怒りなので感情移入が簡単になるという点で優秀かと思います。実際に書いてみると分かるのですが、主人公の身の回りの人に危害を加えるような描写を書くのはちょっと心が痛みますね。
最後に、味方のみならず敵にも感情移入できること。
これも非常に重要ですね。勧善懲悪物語にしても、敵の過去や成り立ちを描き、どうしてそうなったのかを見せるものが現代の作品には非常に多いと感じました。
味方だけでなく、敵の過去を描くことで何故このようになったのかと言う整合性が出てきますし、キャラクターが魅力的になります。あわよくば商品化も…なんてこともありますね。
以上のように、今回はポイントをを整理してみました。
- 伏線回収があること
- 序盤の謎が後半で解けること(ほとんど上に同じ)
- 主人公が特殊能力の持ち主であること
- 身内に危害が及ぶこと
- 敵にも感情移入が可能であること
今回はこの五つを盛り込んだ物語にしていこと思います。
どの程度桃太郎要素を入れるのか
上記のポイントを盛り込んで新しくすることは決定しました。
では、どの程度桃太郎の要素を取り入れるか考えていきましょう。
今回は、「新・桃太郎」と言うお題です。
もちろん桃は外せません。
しかし、桃から生まれるというのはどうでしょうか?
現代の発展した化学において桃から人が生まれているというのは非常に受け入れがたいことです。
マッドサイエンティストが桃から人間を作り、人間を恨むとかも考えたのですが、桃太郎は受け継がれ子供に継承されるもの。
桃から生まれて、迫害され、頼んでもないのに生まれたから苦しいとか、そんなところは理解できないかなと思います。
なので、桃は別の部分にて関与させていくことにします。

次にキジ・サル・犬について。
まあ、正直戦力になりませんよね。また、現代においては動物保護の観点からも鬼と動物を戦わせるというのは荒れてしまう気もしなくもありません。申し訳ないですが、キジサル犬にはご退場願いたいと思います。
しかし、桃太郎はやはり仲間との絆の部分が物語の根底にあると思います。この部分は残したいですね。
そして、最終目的が鬼退治である点。
勧善懲悪物語である桃太郎。桃太郎は悪の代表として鬼を使っています。
しかし如何せん鬼は古い。そして、桃太郎が桃である意味がないですよね。今回は鬼ではなく他の適役をしっかりとたてていきたいと思います。(あと鬼滅のパクリと言われるかもしれないので辞めます)
適役は立てて、勧善懲悪物語である部分は残していきます。
さて新桃太郎のポイントが決定いたしました。
かなり頭を悩ませましたが、煮詰まってしまったため、桃のダースを握ってみると…

ぐあああああああ!!!
桃からエネルギーが流れ込む…
その時に閃いたもも語り…あ、物語がこちらです。
新・桃太郎
今は今。もう超なう。
俺は今日もいつも通りの帰路につく。
俺は桃田太郎、17歳。
偏差値50ぐらいの平凡に中学を暮らして来たら行くような公立高校に通う高校二年生。
親が両親ともに公務員の家庭で育ち、今日もその家に帰る。
そろそろこの生活にも飽きたとか言ってみたいが、もうそんな感情も通り過ぎてしまっている。
何度歩いたか分からないこの帰り道。
ここで特徴的なことと言えば毎日欠かさず桃を売っているおじさんがいる。
「お、太郎。今日も一人か。」
おっさんは毎回ちょっとダルがらみしてくる。
「おじさんも毎日桃売ってて飽きないねぇ。俺以外買う人いるの?」
そう、俺は毎日このおじさんから桃を買っている。桃が俺は大好物だ。
「いないねぇ。でも太郎が毎日買ってくれるからここに毎日売りにきてんの。はい、毎度。」
俺は少し照れた。
「なんだよそれ。じゃあ、俺が高校卒業するまで毎日桃売ってくれよ!約束だぜ。」
そう言って俺は帰宅した。
着替えて、ベットに寝っ転がる。机の上にあるおじさんから買った桃を眺めてふと思う。
「そういえば俺って好きになる子みーんなフルーツみたいな名前してるよなぁ。」
初恋は幼稚園の頃。田中市碁(いちご)ちゃんが好きだった。
次に好きになった子は本田甘蕉(かんしょう)ちゃん。バナナの和名が甘蕉らしい。
そして、今の高校で好きになったのは加藤鳳梨(ほうり)ちゃん。パイナップルの和名らしい。
俺は全員に付き合ったときにピーチジョン(女性もの下着のブランド)をあげていた。そのたびに振られた。
俺は、いつもピーチジョン。何故かダメなの分かっていてもピーチジョン。
と果実のことを考えているのに何も実らない時間を過ごしていると、「ご飯できたわよ」と母さんの声。
いつもと変わらない食卓。しかし、一つだけ違うものがあった。
「母さん、このリンゴ何?」
「あぁ、親戚のうちから送られてきたのよ。真っ赤で食べ応えありそうよね。」
そう、うちの家庭には不相応な立派なリンゴが置かれていたのだ。おいしそうではあるが、俺には桃もある。
「俺はいつもの桃があるからふたりで食べて。」
そう言い残して部屋に戻る。桃を食べ、そして寝る。
起きたら、またいつもの学校。日常とはそういうものだ。俺がいつも同じでいいと思うのは桃の味だけだ。
朝が来る。朝ご飯をリビングで食べる。父さんは俺より早く出るので一緒に朝食を食べることはここ数年経験してない。
そして、いつものようにバナナとパイナップルが入ったヨーグルトを食べる。
学校へ向かう。変わらない。
学校で授業を受ける。変わらない。
休み時間少し寝る。変わらない。
弁当の時間。俺はいつも決まってイチゴが入っていてそれを最初に食べる。変わらない。
周りを見渡す。
変わった。
圧倒的違和感。なんとクラスメイト全員の弁当にリンゴが入っている。
そして午後の授業。リンゴの歴史について先生が話す。おかしい。
ここは青森か?いや、神奈川である。
気持ち悪くなり帰宅する。道行く人が、リンゴ握り潰し大会している。
どうしちゃったんだ。
走る。そして、ある場所で止まる。
「おっちゃん。みんなおかしいんだ。みんながリンゴを…」
桃売りのおっちゃんのとこだ。駆けつけるなり声を発したが、言いかけて声を出すのを辞めた。
その日おっちゃんが売っていたのは桃ではなかった。そう、リンゴだ。
「よう太郎。今日もリンゴ様買っていくかい?」
リンゴ様?
昨日のリンゴが頭によぎった俺は家へ向かう。
いやな予感がする。なんだこの胸騒ぎは…
「母さん!!町が大変なことになってる…」
ドアを開け靴を離脱した僕はあまりの光景に絶句した。
母さんの頭が大きなリンゴになっていた。
「かあ…さん?」
声にならない声を出す。目の前の大きなリンゴの物体が口を開く。
「おお、我リンゴ催眠にかかっていない奴がいたなんてな。どうしてだろうなぁ。」
リンゴに顔はない。だが不気味に笑っているように見える。
「母さんはどうなった・・・?」
俺は聞く。
「母さんとはこの体のことか。ごめんなあ。原始リンゴの俺が昨日この体に食われたリンゴに寄生していたから、この体を乗っ取ったのさ。」
「どういうことだ?」
「俺は世界の始まりのリンゴに寄生していた物。人間よりもはるか昔から宇宙からこの地球に来た。最初に物体に憑依する必要があり、リンゴの木に憑依した。やがて人間が生まれ我々を食べた。禁断の果実と言い食べた段階で無垢を失ったのは我が細胞が入ったからであろう。
その後、人間達とはうまくやっていたのだが、リンゴに感謝せず貪るようになり、我々の意思を無視した品種改良。そして、廃棄。我は激怒した。だから、禁断の果実から始まる我が細胞に発信し人間達を操ることにした。リンリンリンリンゴぉ。」
変な笑い方をする奴だ。
「確かに、人間は貪欲になりすぎたのかもしれない。しかし俺の母さんは感謝して食べ物をいただく人だった。こんなのあんまりだ…」
涙が流れる。願っていた非日常は思ったよりもつらいものだった。
「この催眠が効かないのは邪魔だなぁ。申し訳ないが消えてもらおうか。」
ベタなセリフだ。歩いてリンゴが向かってくるリンゴに人生をしめられるなんて。母さん、ごめん。
諦めていたその時…
「ケツを出せ!」
心の底から声が聞こえる。瞬時にケツを出す。向かってくるすごいスピードのつるのムチ。
カキーン。金属音的な音がする。なんだと思ってみると…
ケツが桃になっていた。その桃がツルを防いでいる。
原始リンゴが叫ぶ。
「まさか!?桃の意思を継ぐものなのか!?」
理解が追い付かない。俺のケツは桃。
そしてそのケツ桃から音が出てきた。
「太郎。びっくりするよな。俺は桃に宿った宇宙人「プリケツ」だ。お前が小さいころに食った桃からお前の体内に入った。あまりにおいしそうに桃を食うからお前のこと利用して世界を桃色にしようとしたけどやめちゃった。お前がありがたそうに桃を食う姿を見ていたくなってな。
今回は俺の親戚のリンゴがお前に迷惑をかけてるみたいだったから出てきちまったぜ。防御はこのプリケツに任せろ。」
毎回ピーチジョンをあげてた理由が分かった気がした。
「おい、ちょっと出てくるのが遅いんじゃないのか?相棒」俺は格好つけた。
「いや、相棒って言うけど初めて俺も桃見せたぜ。それは早くね?」とプリケツは言う。意外と冷静だ。
そうこう言ってると原始リンゴが言う。
「そうか。同じバラ科の桃。はるか昔に変化した時に私の細胞が桃にも渡っていてそのまま自我を持ったのか。催眠が効かない理由もこれで納得だ。
しかし、だからって邪魔する理由は納得いかねえ。ここで消えてもらう。」
プリケツが言う。
「相棒、防御は俺に任せな!」
いや、相棒使ってるじゃん。とか思ってるうちにつるのムチが来る。どうすればいいんだ。ケツを振って防御する。
俺は、ふと思った。攻撃できないと。
絶望した。いつまで俺がケツを振り続けられるか問題だ。
こんなことになるなら、フラメンコでも習っておけばよかった。ケツ振りうまくなっただろうに。そう言えば俺の人生って後悔ばっかかもな…
生まれたときから人生を振り返りだした。幼稚園に差し掛かり、好きだった田中市碁ちゃんのことを思い出す。
顔が浮かぶ。ああ可愛かったな… と思った時、思い浮かんだ顔が叫ぶ。
「諦めてんじゃないわよ!まだ私ピーチジョンのお礼してないのよ!」
えぇ、走馬灯で思い浮かぶ人ってこんな喋るっけ!?いちごちゃんは続ける。
「私は同じバラ科のイチゴの宇宙人だったの。こうなることを予感してあなたが今日昼に食べたイチゴに力を宿しといたわ。右手を前に!」
言われるがまま右手を前に。手が大きなイチゴに変わり回転しだした。
「うおおおおおおお、イチゴドリルゥ!!!!」
叫んだ。相手の大きなリンゴに直撃。ダメージを負わせられたようだ。
次出てくるのは本田甘蕉(かんしょう)ちゃん 。やはり勝手にしゃべる。
「私も実は品種改良されて原始リンゴの細胞を受け継いだバナナの宇宙人なの。私もピーチジョンのお礼がしたいわ。朝のバナナがそれ。左手を振り下ろしてみて!」
言われるがままに振り下ろす。なんということだ。
左手がバナナになった。
「バナナソォォォォォォド!!」
俺は必死に叫んだ。バナナソードは大きなリンゴを切り裂く。
原始リンゴはひるんだみたいだ。
そして次に思い付くのは加藤鳳梨(ほうり)ちゃん。
「私も上に同じ!以上!右肩を前に!」
例に漏れず右肩を前に。肩がパイナップルになる。
「パイナポータックルウウウウウウ!!!!」
これも慣れた。
例にも漏れず相手も怯む。
やった勝てるぞ…
希望が見えてきた!
すると原始リンゴが叫ぶ。
「いいのか!お前の母さんは俺の中だぞ!攻撃し続けたら死んじゃうぜ!!」
数々の攻撃で削れた大きなリンゴから母さんの顔が見える。
「くそぉ!!!」
俺は怒る。プリケツが言う。
「もっと怒れ!怒って俺と心を通わせろ!人の一番強い気持ちは怒りだ!!」
もっと怒れと言うのかいいだろう。俺は原始リンゴに訪ねる。
「ニュートンがリンゴで重力を見つけたってのはお前のせいか?」
原始リンゴが答える。
「そうだ。」
すかさず聞く。
「バーモントカレーがリンゴとハチミツ入れるのもお前のせいか!?」
「そうだ。」
やはりこいつのせいだ。何てことだ。
「もしやキティちゃんの体重がリンゴ3つ分なのも!?」
「それは違う。」
「いや、何でだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
俺の怒りは最頂点に達した。プリケツとフュージョンした。
俺のプリケツが光だした。
「人間が貪欲になりすぎたのはすまなかった。しかし、俺は母さんを助けたい許してくれ」
俺のケツが泣く。
「原始リンゴよ、浄化してくれ。プリケツピーチフラッシュ!!!!!」
暖かな光が俺のケツから発せられ世界を包む。
原始リンゴは泣きながら言った。
「暖かい…感謝の光だ…」
大きなリンゴは光となって消えていく。
母さんが元通りの姿になっていく。母さんがにこやかに笑う。
「今日のご飯何がいい?ってあんたなんでケツだしてるの!?」
ケツだしてるのにビックリされた。そうだ。日常はケツだしてたらビックリされる。
非日常から帰ってきた気がした。
ご飯を食べるとき、人一倍命をいただいてるいることに感謝して食べるようになった。
今日も僕は命をいただき生きていく。
しかし、この事件以降便器に座る度に「イテッ!」とケツから声が聞こえるようになった。
こんな非日常だったことも、もう今では日常の一部になった。
終